1989年、世界初 マイナス度数非球面設計単焦点レンズ

プラスチックレンズ時代の基を築いた。世界初「非球面設計単焦点レンズ」

早くからプラスチックレンズの時代を見据えて。

1980年頃、単焦点レンズといえば球面設計のものしかなかった。

当時、「より薄いレンズがほしい」というユーザーに対しては、ガラスのレンズを勧めることが多かった。
当時のプラスチック素材の主流は屈折率1.50といったもので、ガラスに比べ、かなり厚かったのである。

しかし、ガラスレンズは薄くはなるものの、重く割れやすいのに対し、プラスチックレンズは厚いが非常に軽く、長い時間装用していても苦にならなかった。SEIKOは、必ずプラスチックの時代が来ると信じ、早くから薄くて軽いプラスチックレンズを実現するために素材開発と設計開発に取り組んでいた。

薄いプラスチックの第1号「ハイロード(MX)」を開発。

SEIKOは大手化学メーカーと協同で、屈折率1.60というメガネレンズ用のプラスチック素材を開発。
これがハイロード素材という独自開発のもので、プラスチック素材では当時最も薄かった。
この素材を使って最初に商品化したのが「ハイロード(MX)」である。
設計は当時一般的であった球面設計を採用。丸みを帯びた形状のため、せっかく薄い素材を使用しても、強度の場合にはレンズが前に飛び出し、恰好の悪いフォルムになっていた。


軽く薄いレンズを実現するために、新しい設計を。

プラスチック素材を使い、軽く薄いレンズを実現するためには、素材だけではなく設計面の新しい試みが必要であるとSEIKOは考えた。

それが非球面設計である。

非球面設計を実現できれば、光学性能を落とすことなくレンズ形状をフラットにすることが可能である。
世界最薄素材とこの非球面設計を融合させれば、メガネユーザー待望の軽く薄いレンズが作れるはずである。

薄さへの挑戦が再びはじまった。


1988年、薄型化と光学性能を両立させた「スーパーMX」誕生。

プラスチック素材に非球面設計を施すにあたり、まず、薄さを追求した低ベース(フラット強)の非球面設計でレンズを試作。モニターをしてもらい、見え具合を確かめる。

しかし、今までの球面設計レンズを掛け慣れたユーザーからは周辺部がボケるとの意見が多く出て、最適な非球面量を導き出すまでかなりの時間を有することとなった。試行錯誤の後、薄型化と光学性能を両立させる最適な設定が完成したのは1988年。

1989年「スーパーMX」として商品化し、見え方はもちろんのこと、かつてなかった軽さと薄さに高い評価をいただき、爆発的なヒットとなった。現在は、後継機種として「スーパールーシャス」が販売されている。

また、より薄い素材を採用した屈折率1.74の「プレステージ」、屈折率1.67の「スーパーソブリン」も発売し、計3種類の非球面設計単焦点レンズをラインナップ。


非球面設計レンズの時代の扉を開いたSEIKO。

この非球面設計レンズの商品化は、マイナス度数のレンズにおいては世界初の快挙であった。

それまで強度のユーザーの選択肢には重いガラスレンズしかなかったところに、ようやく軽くて薄いレンズが加わったのである。そして、この商品の登場は、プラスチック素材に切り替えるターニングポイントとなり、非球面設計レンズの時代の扉を開くこととなった。

現在では、メガネレンズの95%以上がプラスチックレンズとなっている。