1986年、中近屈折レンズ「セイコー シニア50」

世界初のコンセプト"用途別設計"をカタチに室内用累進レンズ「セイコー シニア50」

それは、ひとりの医師の意見から始まった。

1980年頃、SEIKOは信州大学眼科の先生と交流があった。
それまで2重焦点レンズしか使ったことがなかったその先生に、当時大ヒットした累進レンズ「P-1マイルド」をモニターしていただいたところ、「若い頃に戻ったようだ」と高い評価をいただいた。その後、さらにこんなご意見をいただいた。「手術中に掛けても、手もとが見やすいレンズはできないだろうか」

「P-1マイルド」は、通常の生活で使うには問題ないものの、手術のような細かい作業をするような場面では、さらに広い手もとの視野が必要であった。

累進帯長25mmに初挑戦。

そこで、手術のような室内作業をする際に、快適に使用できる室内用累進レンズの開発に着手。

室内専用として考えると手もとから中間距離(5m程度)までの範囲でいかに広い視野を確保できるかが重要。そのためにSEIKOが選んだ方法は度数が連続的に変化する累進帯の長さを25mmにすることだった。

当時の累進レンズは大抵16mmで、25mmの累進レンズはもちろん世界初であった。


世界初室内用累進レンズ「シニア50」誕生

25mmの長さの累進帯を実現することにより、ユレ・ユガミが少なく、手もとから中間距離を合わせた広い視野を持つレンズの商品化が実現。今でいう中近レンズである。

1986年6月、それは「シニア50」という名で世の中にデビューした。
世界初室内用累進レンズ(中近用レンズ)の誕生である。
日本はもちろん、世界的にもこのようなコンセプトのレンズは初めてであった。


「用途別設計」それは、SEIKOのレンズ設計の思想。

「シニア50」は、発売当初より、ユレ・ユガミが少なく掛けやすいレンズとして高い評価をいただいた。
その後の室内用累進レンズ(中近用レンズ)の市場を創り出した歴史的な商品であった。

シーンに合わせて最適なレンズというSEIKOの用途別設計の思想は、ここでも花開いたのであった。
現在は、さらに改良が加えられ、後継機種として「キャスター」や「ルーメスト」、「インドアLD」が販売されている。